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空き家を放置するとどうなる?固定資産税と管理の負担

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親が施設に入った、亡くなったなどの理由で、実家が空き家になることがあります。すぐに売るか決められず、「とりあえずそのままにしておこう」と考える人も多いかもしれません。

ただ、空き家は人が住まなくなると傷みやすく、管理が行き届かないと、周りに迷惑をかけたり、税金の負担が増えたりすることがあります。この記事では、空き家を放置すると何が起こるのかを、法律のしくみにそって整理し、放置しないための選択肢を紹介します。

法律でいう「空き家」とは

空き家の対策を定めた法律(空家等対策の推進に関する特別措置法、以下「空家法」)では、「空家等」を、住むなどの使い方がされていないことが常態になっている建物と、その敷地のことだとしています。

そして、空き家の所有者や管理者には、周辺の生活環境に悪い影響を与えないよう、空き家を適切に管理するよう努める責務があるとされています(第5条)。民法では、相続人は相続が始まった時から、亡くなった人の財産に関する権利と義務を引き継ぐとされています(第896条)。登記が親の名義のままでも、相続すれば、相続人が所有者としてこの責務を負う立場になります。

放置すると起こること① 市区町村から指導・勧告を受ける

空家法では、管理が行き届いていない空き家について、市区町村長が段階を追って対応できるしくみがあります。2023年12月13日に施行された改正で、まだ危険な状態になる前の段階(管理不全空家等)でも対応できるようになりました。

空き家の状態 市区町村ができること
管理不全空家等:このまま放置すれば、特定空家等になるおそれがある 指導 → 勧告(第13条)
特定空家等:倒壊などのおそれがあり著しく危険、衛生上著しく有害、景観を著しく損なっている など 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 代執行(第22条)

特定空家等の場合の流れは、次のとおりです。

  1. 助言・指導:取り壊し、修繕、木の伐採など、必要な対応をとるよう求められる
  2. 勧告:それでも改善されない場合、期限をつけて対応を勧告される
  3. 命令:正当な理由なく勧告に従わない場合、期限をつけて命令される。命令に違反すると 50万円以下の過料 の対象になる(第30条)
  4. 代執行:命令に従わない場合などは、市区町村が代わりに取り壊しなどを行い、その費用は所有者に請求される(行政代執行法第5条)

災害などで緊急に対応が必要なときは、命令の手続きを経ずに、市区町村が所有者の負担で措置をとれる規定もあります(第22条第11項)。

放置すると起こること② 固定資産税の軽減が受けられなくなる

住宅が建っている土地は、固定資産税と都市計画税の計算のもとになる額が軽くなる特例(住宅用地特例)があります。東京都主税局の案内では、住宅1戸につき200㎡までの部分は、固定資産税が価格の6分の1、都市計画税が3分の1になります。

ところが、空家法にもとづいて 勧告 を受けた管理不全空家等・特定空家等の敷地は、この特例の対象から外れます(地方税法第349条の3の2)。建物が建ったままでも、土地の税金が上がることがあるということです。

固定資産税は毎年1月1日の状態をもとに決まります(地方税法第359条)。勧告を受けた状態で1月1日を迎えると、その年度の税金に影響します。どのくらい上がるかは土地の評価などによって違うため、気になる場合は市区町村(東京23区は都税事務所)に確認してください。

放置すると起こること③ 事故が起きたときに責任を問われる

古い空き家では、屋根材や外壁がはがれて落ちる、ブロック塀が倒れる、庭木の枝が道路にはみ出すといったことが起こりえます。

民法では、建物や塀などの設置や保存に問題があって他人に損害を与えた場合、まず占有者(実際に管理している人)が賠償の責任を負い、占有者が損害を防ぐために必要な注意をしていたときは、所有者が賠償しなければならないとされています(第717条)。木の植え方や支え方に問題がある場合も同じです。

空き家だからといって、誰も責任を負わないわけではありません。所有者として、建物や庭の状態を定期的に確認しておくことが大切です。

相続放棄をしても管理が必要な場合がある

「相続放棄をすれば、空き家とは関係なくなる」と考えるかもしれません。ただし民法では、相続放棄をした人でも、放棄の時に相続財産を 現に占有している ときは、ほかの相続人などに引き渡すまでの間、自分の財産と同じ程度の注意をもって保存しなければならないとされています(第940条)。

たとえば、亡くなった親と同居していた実家を相続放棄する場合などが当てはまる可能性があります。自分が当てはまるかどうか迷う場合は、専門家に相談してください。

空き家の管理にかかる負担

空き家を持ち続ける場合は、定期的な管理が必要です。主な作業と費用は次のとおりです。

種類 内容
定期的な作業 換気、通水、郵便物の確認、雨漏りや傷みの確認、庭木や雑草の手入れ、近所へのあいさつ
毎年かかる費用 固定資産税・都市計画税
必要に応じてかかる費用 火災保険などの保険料、電気・水道の基本料金、修繕費、実家までの交通費

火災保険などに入っている場合は、空き家になったことを保険会社に伝え、補償の内容がそのままでよいかを確認しておくと安心です。

実家が遠方にある場合は、交通費や移動の時間も大きな負担になります。自分で通うのが難しいときは、空き家の管理を代わりに行うサービスを利用する方法もあります。国土交通省は、不動産業者が空き家の管理を引き受ける際のガイドラインを策定しています。

放置しないための選択肢

空き家をどうするかは、すぐに決められなくてもかまいません。ただ、選択肢を知っておくと、「とりあえず放置」を避けやすくなります。

選択肢 内容 詳しく読む
売る 仲介で買い手を探す、不動産会社に買い取ってもらう 仲介と買取の違い
解体して土地を売る・活用する 建物を壊して更地にする 更地か古家付きか
貸す・残す 人に貸す、管理しながら持ち続ける 解体と残す
国に引き取ってもらう 相続土地国庫帰属制度を使う 下で説明

相続土地国庫帰属制度

2023年4月27日から、相続や遺贈で取得した土地を、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が始まっています。ただし、次の点に注意が必要です。

  • 建物がある土地は申請できない:空き家が建ったままでは使えず、先に取り壊す必要がある(法第2条第3項)
  • 共有の土地は、共有者全員で申請する(法第2条第2項)
  • 承認されたら負担金を納める:土地の種類ごとに、管理にかかる10年分の標準的な費用をもとに決められた額(法第10条)

ほかにも申請できない土地や、承認されない土地の要件があります。使えるかどうかは、法務省の案内や、土地のある地域を管轄する法務局で確認してください。

売るなら、税金の特例の期限も確認する

亡くなった親が一人で住んでいた家を相続して売る場合、条件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります。この特例には「相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売るという期限があり、空き家のまま長く放置すると、使えなくなることがあります。条件は相続した実家を売る流れと必要な書類で紹介しています。

まとめ

  • 空き家の所有者には、周りに悪い影響を与えないよう、適切に管理するよう努める責務がある
  • 管理が行き届かないと、市区町村から指導・勧告を受け、特定空家等になると命令や代執行の対象にもなる。命令に違反すると50万円以下の過料
  • 勧告を受けると、建物があっても固定資産税の住宅用地特例が外れる
  • 建物や塀、庭木が原因で事故が起きると、所有者が賠償責任を負う場合がある
  • すぐに決められなくても、売る・解体する・貸す・国に引き取ってもらうなどの選択肢を知り、最低限の管理は続ける

制度の内容は改正されることがあります。最新の情報は、記事末の出典と、実家がある市区町村の空き家対策の窓口で確認してください。

出典・参考